監修者:医療法人真摯会 理事長・総院長 松本 正洋

「歯を複数本失ったらインプラントは何本必要?」

歯を複数本失った場合、失った歯と同じ本数のインプラントを埋めるとは限りません。 複数のインプラントで連結した人工歯を支える方法や、インプラントを使って入れ歯を安定させる方法があります。

「3本なくなったら3本必要?」「今の入れ歯も使える?」と迷う方もいらっしゃるでしょう。必要な本数は、歯がない場所や骨、噛み合わせなどから判断します。

この記事を読むとわかること

  1. 失った歯の本数と、必要なインプラントの本数の関係がわかります。
  2. インプラントのブリッジと、入れ歯を組み合わせる方法の違いがわかります。
  3. 手術や費用について、治療前に確認したいことがわかります。

まずは「骨に埋める本数」と「その上に作る人工歯の本数」を分けて考えてみましょう。

 

歯を複数本失ったら、同じ本数のインプラントが必要ですか?

歯を複数本失ったら、同じ本数のインプラントが必要ですか?の図解

必ずしも同じ本数は必要ありません。連続した欠損では、失った歯より少ない本数のインプラントで人工歯を支えられる場合があります。

「歯が何本ないか」に加えて、「どこで支えるか」が重要です。

歯が連続してない場合と、離れた場所にない場合では、設計が異なります。
以下は治療の考え方を示した例であり、本数を確定するものではありません。

歯を失った状態 検討する方法の例
2本が連続してない 2本のインプラントで補う方法など
3本が連続してない 条件によって、2本で3本分のブリッジを支える方法
離れた場所に歯がない 欠損部位ごとに必要な支えを計画する
片顎の歯をほぼすべて失っている 複数本で歯列全体を支える固定式や、入れ歯との併用

少ない本数でも、配置や設計によって複数の人工歯を支えられます。
ただし、費用を抑えるためだけに本数を減らすと、支えへの負担が大きくなるおそれがあります。

歯を失った場合の治療を比較したい方は、入れ歯とブリッジのメリットや違いもあわせてご覧ください。

複数本の歯をインプラントのブリッジで補えますか?

インプラントのブリッジ

条件が整えば、インプラント同士を支えにして、連結した人工歯を固定できます。

インプラントのブリッジは、隣の天然歯を土台にするブリッジとは支え方が異なります。

たとえば、3本連続した欠損の両端にインプラントを埋め、その間を人工歯でつなぐ設計があります。患者さん自身で取り外す必要がなく、隣の健康な歯を土台として削らずに補える点が特徴です。

ただし、人工歯の下には清掃が必要です。歯間ブラシなどが届く形に作り、使い方を確認します。また、前歯か奥歯か、噛む力が強いかによって、適した本数や配置は変わります。

なお、インプラントと天然歯を直接つないで一つのブリッジにする方法は、慎重な判断が必要です。 天然歯とインプラントでは力を受けたときの動き方が異なるため、通常は別々の支えとして設計する方法を優先して検討します。

インプラントで支えるブリッジなど、人工歯の種類については、インプラントの上部構造(人工歯)の種類と特徴で詳しく解説しています。

インプラントと入れ歯は組み合わせられますか?

インプラント・オーバーデンチャーチャー

組み合わせられます。インプラントに設けた装置で取り外し式の入れ歯を安定させる方法を、インプラントオーバーデンチャーと呼びます。

「インプラントを使う治療」が、すべて固定式になるわけではありません。

入れ歯が動くことに困っている場合でも、すべての歯を固定式で作る以外の選択肢があります。
固定式と取り外し式の主な違いは、次のとおりです。

比較項目 インプラントのブリッジ インプラントオーバーデンチャー
患者さんによる取り外し 通常はできない できる
清掃方法 お口の中で人工歯の下まで清掃する 入れ歯を外し、装置の周囲も清掃する
主な検討点 固定式の希望と清掃のしやすさ 入れ歯の安定と着脱・清掃のしやすさ

取り外し式でも、支えのインプラントや歯茎の管理は欠かせません。
固定装置の部品が摩耗して、交換や調整が必要になることもあります。

今の入れ歯を加工できる場合もありますが、形や噛み合わせによっては作り直しが必要です。また、同じお口の中で、ある部位はインプラント、別の部位は天然歯のブリッジや入れ歯にする計画も考えられます。

入れ歯と組み合わせる場合も、支えとなるインプラントの管理が必要です。健診で確認する内容については、インプラント治療後のメンテナンスをご覧ください。

必要なインプラントの本数は、何で決まりますか?

インプラント本数の決定

欠損の位置と範囲、骨の状態、噛む力、残っている歯、人工歯の設計を合わせて判断します。

本数だけでなく、噛む力を受け止められる配置を考えます。

同じ3本の欠損でも、前歯と奥歯では条件が異なります。
検査では、次のような点を確認します。

確認する条件 治療計画への関わり
欠損部位・連続性 人工歯をどの範囲で連結するか考える
骨の幅・高さ 埋められる位置や、骨を補う必要性を判断する
噛み合わせ・歯ぎしり 本数や配置、力への対策を検討する
残っている歯の状態 残せる歯と、欠損部の補い方を計画する
清掃・通院のしやすさ 維持できる人工歯の形や方式を選ぶ

片顎全体を固定式で補う場合も、複数本を適切に分散して配置します。
ただし、「何本なら誰でも可能」という決め方はできません。

残せる歯を、本数をそろえるためだけに抜く必要はありません。一方、保存が難しい歯がある場合は、その理由と今後の見通しも含めて説明を受けましょう。

骨や残っている歯、噛み合わせをどのように調べるかについては、インプラント治療前の検査内容で詳しく解説しています。

複数本のインプラントは、まとめて手術できますか?

まとめて手術できるかの確認

同じ日に複数本を埋めることは可能ですが、手術範囲や全身状態によっては段階的に進めます。

一度に終える便利さと、術後に食べやすい場所を残すことの両方を考えます。

同時に手術すれば、手術日をまとめられる利点があります。一方で、左右の奥歯を同時に処置すると、術後に噛みにくくなることもあります。

  1. 骨を補う処置が必要か確認します → 先に骨を補って治癒を待つなど、工程を分ける場合があります。
  2. 治療中の食事について相談します → どちら側で噛めるか、仮歯や入れ歯が使えるかを確認します。
  3. 持病や服薬を伝えます → 本数だけでなく、手術時間や身体への負担から進め方を判断します。

「何回で終わるか」に加えて、「完成までどう食べて過ごすか」を相談すると、生活に合った予定を立てやすくなります。埋めた直後から普段どおり噛めるとは限りません。

手術後の食事や、痛み・腫れへの対応などについては、インプラント手術後の注意点と過ごし方をご覧ください。複数の部位を治療する場合は、食べやすい場所を残せるかも事前に相談しましょう。

費用は「1本の料金×失った歯の本数」で考えていいですか?

費用はインプラントの本数と人工歯を分けで確認費用はインプラントの本数と人工歯を分けで確認

単純な掛け算では決まりません。埋める本数と、人工歯の本数・方式が異なるためです。

見積書では「骨に埋める部分」と「上に作る歯」を分けて確認しましょう。

たとえば、2本のインプラントで3本分のブリッジを支える場合も、3本分の人工歯の製作費が必要です。
入れ歯と組み合わせる場合は、入れ歯や固定装置の費用も確認します。

費用の項目 確認する内容
インプラント・手術 埋める本数と、料金に含まれる処置
人工歯・接続部品 人工歯の本数、材料、固定装置の費用
検査・追加処置 CT、骨造成、仮歯などが別料金か
治療後の管理 健診、部品交換、修理などの費用

本数を減らせば、その分だけ必ず安くなるとは限りません。
治療開始から完成までの総額と、追加料金が発生する条件を書面で確認しましょう。

比較するときは金額だけでなく、固定式か取り外し式か、どこまで歯を補う計画かをそろえることが大切です。

当院の治療費については、料金案内をご覧ください。インプラント本体だけでなく、人工歯や入れ歯、固定装置、追加処置を含めた総額を見積もりでご確認ください。

まとめ:複数本の治療で大切なことは何ですか?

失った本数をそのまま埋める本数に置き換えず、支え方・清掃・費用・生活への影響を含めて選ぶことです。

「何本入れるか」と「何本の歯を、どう支えるか」を一緒に確認しましょう。

複数本の欠損では、インプラントのブリッジや、入れ歯を安定させる方法などを検討できます。適した計画は、骨や噛み合わせ、残っている歯によって異なります。

相談では、必要な本数の理由と別の選択肢を聞き、治療中の食事や完成後の清掃まで具体的に確認しましょう。

関連ページ:カトレア歯科・美容クリニックのインプラント治療

参考文献・情報源

  • 公益社団法人 日本口腔インプラント学会
    「よくあるご質問」
    インプラントを利用した取り外し式の入れ歯、治療前の検査、費用・治療期間、治療後の管理について参照しています。
  • Leeds Teaching Hospitals NHS Trust(英国国民保健サービスの公的病院)
    「Dental Implants」(英語)
    複数の歯を固定式のブリッジで補う方法と、インプラントで取り外し式の入れ歯を安定させる方法について参照しています。
  • ITI(International Team for Implantology)
    「Number of Implants Placed for Complete-Arch Fixed Prostheses」(2018年・英語)
    片顎全体を固定式の人工歯で補う場合の、インプラントの本数と配置を検討する考え方について参照しています。
  • ITI(International Team for Implantology)
    「Implant Survival and Complications」(英語)
    インプラントのみで支えるブリッジと、天然歯とインプラントを連結して支えるブリッジの合併症に関する評価を参照しています。

※本記事は上記の情報源などを参考に、一般の方にわかりやすい内容となるよう編集・構成しています。