インプラント

インプラントが出来ない病気はあるの?

インプラントが出来ない病気はあるの?

カトレア歯科・美容クリニック 歯科医師 辻 和志

インプラント治療は手術を行いますので、全身疾患などの持病をお持ちの方はインプラントが出来ない場合があります。

インプラント治療を希望しておられる患者さんの中で持病を持っておられる方は、歯科医師がかかりつけ医と連携を取ることでインプラントが可能になる場合もあります。

インプラントが出来ない病気

インプラントは外科手術を伴いますので、全身疾患のある方は手術が受けられない場合があります。一般的に以下の疾患のある方は手術の際に注意が必要です。

  1. 骨粗しょう症
  2. 高血圧症
  3. 糖尿病
  4. 心臓病

1. 骨粗しょう症

測定器具

インプラントが出来ない病気の中で代表的なものが骨粗しょう症です。特にビスフォスフォネート系薬剤を服用している方は注意が必要です。

ビスフォスフォネート系薬剤は、現在最も多く使われている骨粗しょう症の方のための治療薬で、骨の代謝を止めることによって骨が解けるのを防ぎます。その影響で骨が治癒しにくくなってしまいます。

健康な身体では骨は毎日作られたり溶けたりしていますが、骨粗しょう症の方は溶ける量が多く、骨がどんどん弱っていきます。ビスフォスフォネート系薬剤は骨が溶けて弱くなるのを防いでくれ、骨粗しょう症の患者さんの多くが服用されています。

しかし、骨粗しょう症の方でビスフォスフォネート剤をご使用されている患者さんは歯科治療において注意が必要です。このお薬を服用している間に抜歯やインプラント等の処置を行うと、炎症がひどくなったり、あごの骨が壊死してしまったりという副作用が出ることがあります。

そのため、骨粗しょう症の患者さんは、内科の医師との連携で薬の量をコントロールしながら治療を行わなければなりません。

2. 高血圧症

血圧測定

高血圧症もまたインプラント手術をする際に注意が必要な病気です。高血圧症の方がインプラント手術を受けられると、手術に対する恐怖や緊張のために普段よりも更に血圧があがり、めまい、動悸、頭痛、嘔吐などが起こる場合があります。

また、普段から高血圧の薬を服用しておられる患者さんが抗菌薬や鎮痛薬を処方された場合、高血圧症の薬の効果が下がって腎臓などに影響が出ることがありますので、注意が必要です。

3. 糖尿病

血糖値測定

糖尿病はインプラントが出来ない病気の一つですが、条件によってはインプラントが受けられるようになります。

糖尿病の方は抵抗力が弱く、「傷が細菌に感染しやすい」「傷が治りにくい」という問題がありますが、術前から抗生物質を服用していただくなどの感染対策をしていただくことでインプラント手術が可能になります。

また、血糖降下剤の内服やインスリンの注射をされている方の場合は、低血糖にならないために、内科医の指導のもとに手術当日のお薬の内服やインスリン注射をいつもの決まった時間から適切なタイミングに変える必要があります。

4. 心臓病

聴診器

狭心症・心筋梗塞をされたことのある患者さんで、血液をサラサラにするための薬を内服されている方は、手術中に血が止まりにくい場合がありますが、適切な止血操作を行うことで問題なくインプラント手術を行うことが出来ます。

体内型ペースメーカーを入れておられる患者さんの場合は、患者さんの内科主治医と連携を取りながら安全に手術を行う必要があります。

【動画】下顎大臼歯のインプラント治療

インプラントが出来ない病気に関するQ&A

高血圧症の患者がインプラント手術を受けると、どのような症状が起こる場合がありますか?

高血圧症の患者がインプラント手術を受けると、手術に対する恐怖や緊張のために血圧が上昇し、めまい、動悸、頭痛、嘔吐などの症状が起こる場合があります。

糖尿病患者がインプラント手術を受けるための条件は何ですか?

糖尿病患者がインプラント手術を受けるためには、術前から抗生物質の服用や感染対策が必要です。また、血糖降下剤やインスリンの使用に関しては、内科医の指導のもとで適切なタイミングや量を調整する必要があります。

心臓病の患者がインプラント手術を受ける際に注意すべき点は何ですか?

心臓病の患者で血液をサラサラにする薬を服用している場合、手術中に血が止まりにくい可能性がありますが、適切な止血操作を行えば問題なく手術ができます。また、体内型ペースメーカーを使用している患者は、内科主治医との連携が必要です。

まとめ

全身疾患

インプラント治療を受けるにあたって注意が必要な全身疾患についてご説明しました。これら以外にも持病のある方は、インプラントが出来ない病気かもしれませんので、主治医の先生と良くご相談ください。インプラントは素晴らしい治療法なのですが、外科手術が必要となりますので、持病のある方は必ず主治医の先生に相談されるとともに、担当の歯科医にもその旨をお申し出ください。

この記事の監修者
医療法人真摯会 カトレア歯科・美容クリニック
院長 辻 和志

2008年 国立九州大学歯学部卒。医学博士。日本口腔外科学会認定医。ICLS講習修了。

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