インプラント

インプラントのデメリット・注意点について

インプラントのデメリット・注意点

インプラント治療は、失った歯を補うための治療で、天然歯に近い機能と見た目を実現できる優れた治療方法です。しかし、インプラントは保険がききませんので治療費が高く、手術のリスクなどのデメリットも存在します。インプラント治療のデメリットや注意点についてご説明します。

インプラント治療の一般的なデメリット

インプラントのデメリット

インプラント治療に関する5つのデメリットについてご説明します。

  1. 費用が高額
  2. 外科手術にリスクがある
  3. 治療期間が長い
  4. 手術後に腫れや痛みが起こる場合がある
  5. 周囲炎に気を付けなければならない

1. 費用が高額

インプラント治療の最大の障壁の一つは、その費用です。一本のインプラントにかかる費用は数十万円に及び、複数の歯をインプラントする場合はその費用はさらに上昇します。高額な費用は、治療を受けたいと考えている多くの患者にとって大きな負担となる可能性があります。

2. 外科手術にリスクがある

どんな外科手術にもリスクは伴いますが、インプラント手術では感染症のリスクや、希に見られるが重大な合併症である神経損傷があります。適切な術前準備と高い技術を持つ医師による手術が求められます。

3. 治療期間が長い

インプラントは、手術後に骨との統合(オッセオインテグレーション)が必要なため、完成までに数ヶ月を要することが一般的です。この長い治療期間は、忙しい日常を送る人にとっては大きなデメリットとなることがあります。

4. 手術後に腫れや痛みが起こる場合がある

インプラント埋入手術では、歯茎を切って骨に穴をあけます。歯茎を切るために治癒する過程で腫れや痛みが起こります。骨を増やす処置を行った場合は、インプラント埋入時よりも大きな腫れが予想されます。

5. 周囲炎に気を付けなければならない

インプラントの周囲の歯茎は感染に大変弱くなります。歯周病にかかるとインプラント周囲炎を起こし、インプラントの周囲の歯周組織が破壊され、骨がインプラントを支えきれなくなると、インプラントが抜けてしまいます。そのため、必ず定期的にメンテナンスを受け、歯周病のチェックを行う必要があります。

インプラント手術のリスクとその対策

1.神経損傷の可能性

インプラントを設置する際、顎の神経に損傷を与えるリスクがあります。神経が損傷すると感覚を失ったり痺れを引き起こすことがあります。CT撮影による診断と手術計画、そして担当医の技術によって、このリスクを最小限に抑えることが出来ます。

2. インプラント周囲炎のリスク

インプラント周囲炎は、インプラント周辺の組織が歯周病にかかって炎症を起こす病状で、歯磨きが十分に行われていない場合に発生します。定期的なメンテナンスと正しい方法での歯磨きにより、このリスクを軽減できます。

インプラントの周囲に歯石がついてしまうと、除去するのが大変難しくなりますので、インプラントの周囲は特に入念にケアを行いましょう。

3. 骨量不足による問題

十分な骨量がない場合、インプラントを埋め込むことが出来ない場合があります。骨移植や骨再生手術などの追加的な処置によって骨を造ることが必要です。

4. 手術当日の腫れや痛みなどの注意

手術当日は腫れや痛みが起こることがあり、また、感染のリスクもあるため、処方された抗生物質などのお薬をきちんと飲む必要があります。

腫れや痛みはインプラントの部位や本数、増骨の処置の有無によってかなり個人差があります。頬の腫れに対しては冷やすことが基本で、運動や入浴を控えて血流を良くしすぎないことが大切です。

費用に関するデメリット

インプラント治療は保険適用外であるため、全額自己負担となります。これは治療を受ける上での大きなデメリットとなり得ます。埋入本数が増えると、治療費の合計はかなり高額になります。また、治療後の定期的なメンテナンスにかかる費用も考慮する必要があります。

歯科医院ではデンタルローンと呼ばれる比較的低金利で審査が厳しくないローンをご用意しています。分割払いをご希望の方は医院にご相談ください。

また、インプラントの費用は全額医療費控除の対象になりますので、納めた税金の一部が還付されます。

インプラント治療のメリット

インプラントのメリット

インプラント治療を受ける5つのメリットについてご説明します。

  1. 自分の歯と同じ感覚で使える
  2. 天然歯と見分けがつかないくらいきれい
  3. 顎骨が痩せるのを防ぐ
  4. 健康な歯を削らないで済む
  5. 入れ歯よりもよく噛める

1. 自分の歯と同じ感覚で使える

インプラントは顎骨に固定されていますので、天然歯と同じように歯磨きが出来、違和感を感じません。インプラントが良好な状態で機能していると、インプラントをしていることを忘れてしまう程、天然歯との区別なく使えます。

2. 天然歯と見分けがつかないくらいきれい

インプラントは審美性に優れており、セラミックの上部構造の場合、前歯でも天然歯との間に違和感がないくらい天然歯そっくりに作れます。

3. 顎骨が痩せるのを防ぐ

歯を失ってしまうと噛む時の刺激が骨に伝わらないために、その部分の骨が痩せてしまいます。しかしインプラントの場合は、人工歯根が骨に埋まっているため、しっかりと骨に咀嚼の力が伝わり、顎骨が痩せることがありません。

4. 健康な歯を削らないで済む

ブリッジの場合は両隣の歯を削って連結された被せ物を被せます。そのため、両隣の歯が健康な歯であっても、大きく削らねばなりません。インプラントは自立しているため、隣の歯を削るなどの影響を与えません。

5. 入れ歯よりもよく噛める

入れ歯は噛む力が弱く噛みにくいとおっしゃる方が多いのですが、インプラントは骨にしっかりと結合しているため、天然歯と同じ感覚で噛むことが出来ます。

インプラントが保険適用になる場合

インプラントを保険適用で受けられる症例は、腫瘍や事故などが原因で顎の骨を連続して1/3以上失っている症例、生まれつき顎骨を連続して1/3以上失っている症例などです。そして治療を受ける医療機関にも定めがあり、大学病院などの規模の大きな病院の歯科・歯科口腔外科での手術が必要になります。

虫歯や歯周病で歯を失った場合のインプラント治療のケースでは、殆どが保険適用になりません。

インプラント手術が受けられないのはどんな場合?

インプラントが適用できないのは、以下のような場合です。

1. 18歳以下の未成年である

未成年の方は、顎骨がまだ成長を続けているため、インプラント治療はできません。成長途中でインプラントを行うと、顎の発達に悪影響があり、歯並びにも影響がデル場合があります。

2. ヘビースモーカーである

ヘビースモーカーであってもインプラントの治療中に禁煙できる方はインプラントを受けることが出来ます。喫煙がインプラントに与える悪影響は以下のようなものです。

  • インプラントが骨と結合しにくくなる
  • インプラント周囲炎になりやすい
  • 手術後の歯茎が治りにくい

インプラント周囲炎を行ないようにするには、治療後も喫煙しないことをおすすめします。

3. 骨量や骨質が足りない場合

インプラントを埋め込むためには骨の厚みや高さが必要です。骨量が足りない場合は、GBR、サイナスリグト、ソケットリフトなどの増骨の処置が必要になります。

4. 重度の歯周病である

重度の歯周病では骨が吸収されてなくなっていきます。骨が減って歯を支えられなくなると、歯はグラグラし出して自然に抜けてしまいますが、インプラントにも同じことが起こります。

5. 糖尿病や高血圧などの全身疾患にかかっている

全身疾患の種類によっては、手術によって傷が感染しやすい、傷が治りにくい、血が止まりにくいなどの症状が出る場合があります。かかりつけ医と連携して数値をコントロール出来れば、手術を行える場合もあります。

6. 妊娠中である

つわりの症状がある時期は、歯科治療そのものが難しくなります。つわりが軽減される時期になっても、インプラント手術のために仰向け態勢を取ると身体に負担がかかり、麻酔薬などの薬のリスクもあるため、妊娠中のインプラント治療は出来るだけ避けましょう。

7. メンテナンスに通うことが出来ない

当院ではメンテナンスに通っていただくことがインプラントの保証を受けるための条件となります。それは、お口のケアが十分に出来ていない場合、インプラント周囲炎になりやすく、インプラントが長持ちしないからです。

まとめ

インプラント治療は、見た目が自然で機能性にも優れていますが、高額な費用や手術に伴うリスクなど、デメリットや注意点も多くあります。これらのデメリットや注意点を理解し、医師と十分に相談することが、インプラントの成功に繋がります。

インプラント治療には以下のデメリットや注意点があります。

1. [Esposito et al., 2006] インプラントの挿入方法には即時、遅延即時、および遅延インプラントがありますが、即時インプラントの場合は感染リスクや失敗率が高い可能性があります。また、治療プロセスの中で発生する合併症や患者の満足度に影響する可能性も指摘されています。

2. [Vissink et al., 2018] 特に医学的に問題を抱えた患者の場合、インプラント治療には成功率の低下や周囲の健康状態への影響のリスクがあります。そのため、医師と患者間で慎重な検討と対策が必要です。

結論として、インプラント治療には感染リスクや失敗率、合併症の可能性があり、特に医学的に問題を抱えた患者にはさらなる注意が必要です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 カトレア歯科・美容クリニック
院長 辻 和志

2008年 国立九州大学歯学部卒。医学博士。日本口腔外科学会認定医。ICLS講習修了。

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カトレア歯科・美容クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック