輪郭整形

出っ歯じゃないのに口元が出ている場合の治し方は?

出っ歯じゃないのに口元が出ている場合の治し方は?

横顔を見た時に口元全体が前に出ている状態を口ゴボといいます。
出っ歯ではないのに口元のラインが前に出ているのが気になる場合の原因や、どのような治療が考えられるかについてご説明します。

出っ歯じゃないのに口が出ている原因と治療方法は?

出っ歯ではないのに口元が前に出ていてフェイスラインが気になる方は、一定数おられます。口元の出っ張りは何故起こっているのでしょうか? それには主に2つの原因があります。

  1. 上顎の骨格の過成長により上顎が大きい場合
  2. 下顎が引っ込んでいるせいで上顎が出ているように見えてしまう

どちらも歯並びのせいで出っ歯に見えているわけではないため、矯正治療をしても口元が出ているのは治りません。これらのお悩みを解決するには、外科矯正で骨格にアプローチする必要があります。

1. 上顎の骨格の過成長により上顎が大きい場合

上顎または上下顎の骨格が大きく、前に出ているために歯がきれいに生えていても出っ歯に見えてしまう。

セットバック手術

骨格が原因になっているため、歯を動かす矯正治療では治りません。そのため外科手術によって骨格を整える必要があります。

セットバック手術は上顎が前に出ているのを骨格ごと後ろに引っ込め、フェイスラインを整える術式です。

4番の小臼歯を抜歯し、歯根が埋まっていた部分の骨を切除して骨ごと後ろに下げます。

  • 手術時間は2時間程度で、全身麻酔下で手術を行います。
  • 入院の必要はなく、日帰りの手術です。
  • 口内から手術を行うため、お顔に傷は全く残りません。

▼セットバック手術で顎骨を切って後ろに下げる。

2. 下顎が小さく引っ込んでいるせいで上顎が出ているように見えてしまう

上顎の大きさや位置は正常であっても、下顎が小さく、奥に引っ込んでいるために相対的に出っ歯に見えてしまいます。

この場合も歯を動かして矯正治療を行っても治りませんので、外科手術で下顎を前に出します。

オトガイ形成手術

下顎の足りない部分をおぎなうために、下顎の先を前にずらして固定し、顎の輪郭を作ります。

  • 手術時間は2時間程度で、全身麻酔下で手術を行います。
  • 入院の必要はなく、日帰りの手術です。
  • 口内から手術を行うため、お顔に傷は全く残りません。

▼オトガイ形成前方移動術

出っ歯じゃないのに口元が出ている場合は絶対に外科手術が必要?

出っ歯ではないのに骨格が原因で口ゴボになっている場合は、歯を動かす矯正治療ではあまり改善が見込めません。しかし、骨格が前に出ているのがどの程度かにもよりますので、矯正治療で多少のフェイスラインの改善は可能なケースもあります。

まず矯正相談で検査を受ける等して、歯列矯正での治療でどの程度改善するか診断してもらい、治療計画について担当医と話し合うことをおすすめします。

まとめ

歯のイラスト

出っ歯ではないのに口元が前に出ている場合の主な原因は、以下の2つです。

  1. 上顎の過成長
  2. 下顎が引っ込んでいる

これらを治すためには矯正治療ではあまり改善が見込めない為、外科矯正が必要となるケースが多いです。

外科矯正としては、上顎の問題なら「セットバック手術」、下顎の問題なら「オトガイ形成手術」が考えられる。しかし、すべてのケースで外科手術が必要とは限らないため、まずは矯正相談をおすすめします。

出っ歯ではないが口元が出ている場合の治療方法について、以下の2つの論文が参考になるでしょう。

1. マンディブラ(下顎)骨折の治療例
Aokiら(2017)は、以前にマンディブラ骨折を経験し、その後、顎の位置異常や顔の凸面プロファイル(口元が出ている)を抱える49歳男性の症例について報告しています。この症例では、顎の異常な位置が歯列不正と顔の凸面プロファイルを引き起こしていました。患者は、顎の遠心性骨延長術と呼ばれる手術を受け、顎が前方に移動し、適切な咬合(歯のかみ合わせ)とプロファイルの改善が達成されました。これは、口元が出ている原因が顎の位置異常にある場合、顎の手術が有効な治療選択肢となり得ることを示しています【Aoki et al., 2017

2. 前歯部の突出に関する治療
Wuら(2013)は、前歯部の突出症例における固定装置とマイクロインプラントの効果について研究しています。この研究では、30例の突出症例が固定装置とマイクロインプラントで治療されました。治療により、上顎前歯は平均6.5mm、下顎前歯は5.8mm後退し、これにより顔のプロファイルが改善されました。この研究は、前歯部が突出して口元が出ている場合に、固定装置とマイクロインプラントを用いた矯正治療が有効であることを示唆しています。【Wu et al., 201

3】

これらの論文から、顎の位置異常や前歯部の突出が口元が出ている原因である可能性があり、それぞれに応じた顎の手術や矯正治療が有効な治療法となることが分かります。

この記事の監修者
医療法人真摯会 カトレア歯科・美容クリニック
院長 辻 和志

2008年 国立九州大学歯学部卒。医学博士。日本口腔外科学会認定医。ICLS講習修了。

▶プロフィールを見る

カトレア歯科・美容クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック