予防歯科

フロスは何歳から使用すれば良い?

フロスは何歳から使用すれば良い?

フロスは何歳から使用すれば良いのか、子供がいらっしゃるパパやママは気になります。フロスは乳歯が生えてくる生後半年くらいのタイミングから使用すれば、子供も習慣として受け入れやすいです。詳しくご紹介いたします。

フロスは何歳からがベスト?

フロスは乳歯が生え始める生後半年くらいの時期から使用を開始するのがベストです。前歯が生えてきた子供にブラッシング練習をしてもらい、保護者が仕上げ磨きを行います。その際に、歯ブラシとフロスの使用を行いますが、大人と異なりいくつかの注意点があります。

1.子供用のフロスで興味を持たせる

子供用のフロスは極力尖った部分が少ない設計になっていたり、キャラクターがついていたり、フレーバーがついたフロスもあります。フレーバーを選ぶ楽しみから、歯ブラシやフロスが習慣化すれば清潔な歯や歯肉を保つことができます。

2.フロスに力を入れない

フロスを使用する際は汚れを除去しようというよりも、習慣をつけさせることが大切です。子供の歯や歯茎はとても柔らかく傷がつきやすいため、優しい力で行いましょう。

3.フロスを歯の方に沿わせる

歯に沿ってフロスを入れて動かすと、痛みが起こりにくいです。フロスを何十回も決めて行うというのではなく、パパやママも笑顔で行うようにすると、歯磨きは楽しい習慣と子供は思えるからです。

乳歯と乳歯の間にフロスを通すと歯と歯の間に隙間が起きて歯並びが悪くならないか不安に思われる方がおられますが、歯並びは悪くなりません。最もむし歯になりやすい時間帯が就寝中です。唾液分泌の少ない就寝前にフロスも使用した歯磨きを行えば良いでしょう。

フロスが必要な理由

デンタルフロスが必要な理由は、歯ブラシでは歯垢(プラーク)や食べかすを60%程度しか除去できないからです。丁寧に歯ブラシを歯面にあてて磨いても、歯ブラシの毛先で歯と歯の間(歯間)や歯周ポケットまで掃除することは難しく、どうしても汚れが残ります。歯磨きの補助としてナイロン糸を束ねてできたフロスという器具を使うと90%まで除去ができ、プラークコントロールを効果的に行えます。

  1. 歯垢は唾液の成分と結合し、歯石として歯周組織に沈着します。
  2. 虫歯菌を保有する口腔内の場合、その歯垢や食べかすの糖を餌に酸を排出します。
  3. エナメル質に酸が付着すると、エナメル質が溶けてしまいます。
  4. 永久歯でも酸で虫歯になりますが、永久歯に比べて歯質が柔らかい乳歯は進行スピードが早いです。

何歳から感染に注意すべき?

生まれてすぐの赤ちゃんは虫歯菌(ミュータンス菌)を持っていません。虫歯になりやすいのは生後1歳半から3歳までの時期が感染の窓と言われ、この時期は子供に前歯が生え揃い奥歯が生えてくるため、お母さんやお父さんも子供も特に予防が必要です。保護者が虫歯になっている方の場合、子供が虫歯にならないという方はなかなかいません。子供の虫歯予防には

  • 家族全体の感染に注意する
  • 食器やスプーン、お箸等を共有しない
  • 食べ物をフーフーと息をかけて冷まさない
  • ダラダラ食べず規則正しい食生活をする

これらの点について特に注意しましょう。

まとめ

歯のイラスト

フロスは乳歯が生え始めた時期から使用し、小さなうちから慣れてもらい、予防につとめましょう。正しい歯磨きが出来ているかどうかについて

  • 定期的に歯科医院へ健診へ通院すること
  • 歯や歯肉の状態を確認してもらい必要があれば早期の処置を行うこと

これらにより、子供の歯を長く健康に保つことが可能です。

フロスの使用に適した年齢に関する論文を2件紹介します。

1. フロスの使用に関する研究
Anaise(1976)による研究では、12-13歳の子供を対象にデンタルフロスと歯間ブラシのプラーク除去効果を比較しました。この研究では、デンタルフロスが歯間ブラシよりもプラークを効果的に除去することが示されています。特に歯の側面(歯間部)において顕著な効果が見られました。【Anaise, 1976

2. 口腔衛生習慣に関する調査
Honkalaら(1997)による研究では、22ヶ国の11歳の学童の口腔衛生習慣(歯磨きやフロスの使用)が調査されました。この研究では、フロスの使用が一般的に少ないことが示され、特に男子よりも女子の方がフロスを使う頻度が高いことが示されました。また、カナダの10代の若者の間では、日常的なフロスの使用が最も一般的でした。【Honkala et al., 1997

これらの論文から、デンタルフロスは早ければ12歳から13歳の子供にも効果的に使用できることが示唆されています。また、フロスの使用は一般的に少ないため、この年齢からフロスを使い始めることで、良好な口腔衛生習慣を育むことが重要です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 カトレア歯科・美容クリニック
院長 辻 和志

2008年 国立九州大学歯学部卒。医学博士。日本口腔外科学会認定医。ICLS講習修了。

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カトレア歯科・美容クリニック

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