
現代の40代は、シニアというにはまだまだ若いのですが、そろそろ歯のケアに気をつけて歯を強くするためのアプローチを行っていった方が良い年齢にさしかかっています。その理由をご説明します。
目次
40代はまだまだ若いのにどうして口腔ケアが大事なの?
40代はまだ若いとはいえ、体力の低下や身体の変化を感じるようになり始める時期です。
「これまで虫歯は一本も出来たことがない」
「子供時代に学校で歯科健診を受けたけど、歯医者には行ったことがない」
元々歯が強くて唾液の質も良く、歯磨きを特に熱心にしなくても全く虫歯にならなかったとおっしゃる方もおられます。
しかし、虫歯に強かった人こそ40代以降は歯周病に要注意です。シニアになってから急に歯のトラブルを抱え始める人は意外と多いのです。そのため、日常的に歯を強くするための施策を行っていく必要があります。
徐々に筋肉が衰え、ホルモンバランスの変化が起こり始めると、お口の中でも確実に加齢が進んでいます。仕事や子育てに多忙な40代にとっては、過労やストレスを抱えている方も多く、口腔環境の悪化には密接なつながりがあります。
40代の約半数が歯を失っている?
厚生労働省による平成28年「歯科疾患実態調査」のデータによると、44~49歳で既に1本でも自分の歯を失った人の割合は41.1%です。
40代後半になると、“すべて自分の歯”という人が約半数しかいないことになります。さらに、50代前半になると61.5%、後半になると72.8%と、歯を失う人の割合は年齢と共に増加します。
50代・60代になってから歯が悪くなって慌てないよう、40代のうちにしっかりと口腔ケアを行って歯周病予防をしておくことが、お口の健康を維持することにつながります。
中年以降も虫歯にかかる?
2016年(平成28年)の「歯科疾患実態調査」によると、20歳以上の9割以上が過去に虫歯になったことがあり、20歳以上の3割が未処置の虫歯があるというのです。
この調査結果では、45歳以上で虫歯のある人の割合は、近年になるにつれて増加傾向にあるとのことです。それは、現代では天然の歯を失うことなく保っている高齢者が増えたために、虫歯の人も増えているのではないかと考えられています。
今後は、単に天然の歯を失わないだけでなく、健康な歯を長く保つという意識を持つことが大切です。
40代以上が歯を失う一番の原因は歯周病
中高年が歯を失う最大の原因は歯周病です、25~44歳位までの間に徐々にその兆候が出てきます。
早い人で40代後半くらいから歯周病で歯を失い始めます。最初は1本だから大丈夫、2本ならまだ何とか大丈夫、と放置していると、噛む力が他の歯にかかるためにゆっくりと噛み合わせがずれていきます。噛み合わせのずれは、更に歯を失うことの原因になり、しかもそれを加速します。
大人の歯は32本で、親知らずを除くと28本あります。しっかり噛んで何でも美味しく食べるためには、18~20本の歯が必要です。
2005年の厚労省の調査によると、1人あたりの歯の本数は、40代前半で27.5本、50代前半で24.8本、60代後半で18.3本というデータがあります。
近年、歯のメンテナンスに力を入れる歯科医院が増えてきたため、本年度は60代後半の方の歯の本数は少し改善していると思われますが、歯周病が依然として中高年が歯を失う主な原因であることに変わりはありません。
歯の質を強くするためには
大人の場合は、カルシウムをせっせと摂取しても、子供ほど歯を強くする効果は望めません。そのため、フッ素を食品から摂ったり、歯に塗布したりして、歯の表面をコートして歯からカルシウムが溶け出すのを防ぎます。
また、フッ素は歯の石灰化を助ける役割もありますので、エナメル質を溶かさない、強い歯を作ることが出来ます。フッ素は緑茶、海藻、牛肉、リンゴなどの食品から摂取できるほか、フッ素配合の歯磨き剤や洗口液を利用するのも良いです。
虫歯・歯周病から歯を守るためには
虫歯や歯周病を予防するためのポイントは2つあります。ご家庭でのセルフケアと、歯科医院での定期健診(クリーニング)です。もう何度もきいて知っているよ、と思われるかもしれませんが、大事な事なので何度もお伝えしています。
1.ご家庭でのセルフケア
40代以降は、歯肉炎にかかって少しずつ歯周ポケットが深くなってくる方が多いです。そのため歯面から歯垢を除去するだけでなく、マッサージするように、ごく軽い力で歯ブラシで歯茎をブラッシングしましょう。
また、若い頃はきれいに揃っていた歯列が、親知らずや、歯を失ったり被せ物をしたせいで、僅かにデコボコが生じてきます。そのため歯ブラシの毛先を様々な角度で当てながら歯磨きを行いましょう。
歯周病予防・虫歯予防のためには、毎日2回は歯磨きを行いましょう。特に寝る前の歯磨きはデンタルフロスや歯間ブラシも使って念入りに行いましょう。
2.歯科医院での定期健診(クリーニング)
セルフケアを丁寧に行っていても、虫歯や歯周病になってしまう方がおられます。それは歯と歯の間や歯と歯茎の溝など、気づかない部分に歯垢が残っており、その中で細菌が繁殖するからです。
歯医者での定期健診を1年に2~4回程度受けていただくと、歯垢や歯石を残さずに除去出来、お口の中の細菌を減らすことが出来ます。また、虫歯や歯周病を初期の段階で見つけることが出来ますので、軽い治療で治すことが出来ます。大切な歯を守るために、ぜひ歯の定期健診をお受け下さい。
40代からの歯のケアの大切さに関するQ&A
40代は身体の変化や体力の低下を感じる時期であり、歯周病など口腔トラブルが増える可能性があります。これまで虫歯にならなかった人でも、歯周病に要注意です。
40代以上の方が歯を失う最大の原因は歯周病です。40代後半から徐々に歯周病の兆候が現れ、放置すると噛み合わせのずれや歯の喪失を引き起こす可能性があります。
40代以降は歯周ポケットが深くなる傾向があるため、歯垢の除去だけでなく、歯茎をマッサージするように歯ブラシを使用することが重要です。また、歯磨きの際に歯列のデコボコを丁寧に磨くことも必要です。
まとめ

40代の方はまだお若いのですが、シニア世代になっても健康な歯を長持ちさせられるように、歯周病予防に気を配りましょう。歯周病は歯肉炎のうちに治療すれば治りますので、
ご家庭でのセルフケアと歯医者での定期健診で十分に予防できます。