詰め物・被せ物

詰め物と被せ物の違いについて教えて

詰め物と被せ物の違いについて教えて

カトレア歯科・美容クリニック 歯科医師 辻 和志

詰め物と被せ物の違いがわかりにくいという方が多いです。今日は、詰め物や被せ物について詳しくご紹介いたします。

詰め物や被せ物をする治療

詰め物や被せ物を行う治療は、一般的にむし歯の治療です。虫歯の初期段階では歯の表面のエナメル質が白濁します。むし歯菌が排出した酸で溶けた(脱灰)エナメル質は、食後に歯磨きをきちんと行い、唾液の分泌量が正常であれば再石灰化し、元の固いエナメル質に改善します。そのため、初期むし歯があると歯科医院で診断された場合は、経過観察という歯科医師が多いです。

初期むし歯の段階で再石灰化しなければ虫歯は進行し、歯の表面が茶色や黒の変色を起こします。穴が開くと虫歯菌がエナメル質の内部にある象牙質、更に内部にある神経(歯髄)にまで達し、痛みや膿などの症状など自覚が出ます。重度になると歯が抜ける状態になり、顎の骨が痩せ大切な他の歯も抜けるトラブルになるので、歯医者さんできちんと治療を終えるまで通院しましょう。

詰め物と被せ物を比べる

では、詰め物と被せ物についてご案内します。

詰め物

詰め物を専門的にはインレーと呼びます。クリニックでインレーの処置が必要な場合の流れについてご説明します。

  1. ドクターが虫歯の状態を確認する(軽度の方が多い)
  2. 虫歯菌によって悪くなっている部分をきれいに削り取る
  3. 削った部分をきれいに整える
  4. 歯型を採取し、インレーを作製する
  5. インレーができあがるまで仮の蓋をする
  6. 接着剤(セメント)で歯とインレーを接着する

詰め物の材質については、保険適用か、保険適用外(自費治療)を選択されるかで大きく異なります。保険適用の場合は自己負担額が少ないですが、保険適用外では100%の料金が発生します。金属のアレルギーがある方には、保険適用の銀合金パラジウムや、保険適用外の金合金は使用できません。前歯が虫歯になり審美性が気になる方には、保険適用の歯科用プラスチック(レジン)や、保険適用外のセラミックインレーの材質をおすすめします。

被せ物

被せ物を専門的にはクラウンと呼びます。クリニックでクラウンが必要な場合の流れについてご説明します。

  1. ドクターが虫歯の状態を確認する(中度の方が多い)
  2. 虫歯菌によって悪くなっている部分をきれいに削り取る
  3. 削った内部を掃除し、薬剤を充填する
  4. 歯型を採取し、クラウンを作製する
  5. クラウンができるまで歯冠に仮の蓋をする
  6. 接着剤(セメント)で歯とクラウンを接着する

被せものの材質については、詰め物と同様に保険適用か、保険適用外(自費治療)を選択されるかにより大きく異なります。保険適用の場合は自己負担額が少ないですが、保険適用外では100%の料金が発生します。金属のアレルギーがある方には、保険適用の金属冠(銀歯)、硬質レジン前装冠、保険適用外のメタルボンド、ゴールドクラウンは使用できません。金属アレルギーや審美性が気になる方には、保険適用のCAD/CAM(一部の歯にのみ対応)、保険適用外のオールセラミック、ジルコニアセラミック、e-maxの材質をおすすめします。

参照先:NCBI

詰め物と被せ物、それぞれの材質の違い

詰め物と被せ物に使われる材質の特徴についてご説明します。

詰め物と被せ物に共通する材質

銀歯・銀合金パラジウム

  • 保険適用内で費用が安く強度はあるが、噛む回数が増えると詰め物や被せ物とご自身の歯の間にすき間ができやすい
  • 銀歯や銀のインレーの下に二次虫歯が起こりやすい
  • 経年劣化により金属イオンが体内に蓄積するという健康上のリスクもある

金合金・ゴールドクラウン

  • 強度はどの金属より強く、噛み合わせる奥歯でも金属イオンの心配がない
  • 経年劣化を起こしにくい
  • 自費治療のため料金が高く、金色が周囲から目立ち審美性には欠ける

オールセラミック

  • 前歯に使用すると天然の歯との遜色がない
  • 保険適用外のため料金が高い
  • セラミックのため変色はせず、審美的に白さをが長く維持可能

ジルコニアセラミック

  • 奥歯にも使用できるセラミックで噛み合わせても丈夫
  • 保険適用外のため料金が高い
  • セラミックのため変色はせず、審美的に白さを長く維持可能

クラウンのみの素材

硬質レジン前装冠

  • 保険適用内で治療が可能
  • 銀合金に歯科用のプラスチック(レジン)を表側に貼り付けた差し歯
  • レジンは吸水性が高く、白いプラスチックが変色し審美性は悪い

e-max

  • 二ケイ酸リチウムガラスから作製された材質のセラミック
  • 審美性と生体親和性が高く、強度があるため奥歯に使用可能
  • 金属に比べると耐久性は弱い
参照先:SciELO

まとめ

今日は詰め物と被せ物の違いについてご説明しました。子供の時に保険適用でむし歯治療を行ったが、大人になって周囲の目が気になり、白く美しい歯に変えたいという方もおられます。歯並びや、お口の中のお悩みがある場合は、一度お気軽にご相談ください。

参照先:NCBI

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