セットバック整形

セットバック手術で口ゴボを治せる?

セットバック手術で口ゴボを治せる?

カトレア歯科・美容クリニック 歯科医師 辻 和志

口ゴボの原因や程度によっては、歯科矯正よりも外科矯正であるセットバック手術が適する場合がありますので、ご説明します。

重度の口ゴボにはセットバック手術がおすすめ

重度口ゴボを改善したい場合、歯科矯正よりセットバック手術が適しています。その理由をご説明します。

前に大きく出ている上下顎の骨格を下げることが可能

大人の方の治療では、歯科矯正で骨格を動かすことがなかなか難しく、突出している状態の上下顎の骨格を治しづらいです。その点、セットバック手術では歯2本分の骨とあごの骨を切るので、骨格を下げることができます。

セットバック手術について

左右の第一小臼歯(主に正面から数えて4番目の歯)を抜歯し、その部分の歯槽骨も併せて切除します。あごの骨を切り前歯とその歯槽骨をフリーにし、抜歯で空いたスペースを利用して、前歯と歯槽骨を後ろに下げてチタンプレートや医療用ワイヤーで固定するという方法がセットバック手術です。セットバック手術は日帰りで行える手術です。入院の必要がなく、術後の検診も少ないというのがメリットでもあります。

▼上顎セットバックについてはこちらで詳しく解説しています。

尖がっている口の傾きを調整できる

セットバック手術はただ骨切りをして下げる、それだけではありません。当院のセットバック手術の特徴でもありますが、少しだけ歯と骨を立てるよう、角度をつけて前歯や歯槽骨を下げます。症例経験の多いドクターにより、口元のバランスを整えます。尖り気味の口元が目立ちにくい口元になり、きれいなEラインにすることが可能です。

▼セットバック手術で歯と歯茎の傾きを変えてきれいなEラインにする具体的な症例はこちらで解説しています。

口ゴボやゴボ口とは?

口ゴボ(ゴボ口)とは、どのような口元かご説明します。

口ゴボとは

口ゴボは、専門用語で歯槽性の上下顎前突と言います。上下とも口元が突出しているため、「アゴが小さく見える」「口元が閉じにくく、口を閉じた時あごに梅干しのようなしわが寄る」というお悩みを抱えています。また、口元に視線を集めるため、鼻が低く見えがちです。

口ゴボの原因

口ゴボの原因は、先天性、後天性と分類できます。上あご・下あごの大きさや小ささ、出っ歯が遺伝的に骨格へ影響している場合は、先天性です。成長段階の癖(口呼吸・噛まない・姿勢の悪さなど)であごが成長し過ぎたり、もしくは劣成長(成長しない)という場合が、後天性です。

口ゴボを1日で治すセットバック整形

歯列矯正では治りきらない口ゴボ・出っ歯・受け口を、骨ごと治す外科矯正『セットバック整形手術』について。

セットバック手術? それとも歯科矯正?

大人の方が口ゴボを治したい場合、ご自身の口元がどの程度の状態か知りましょう。口ゴボの程度は軽度・中度・重度と分類できますが、軽度・中度の場合は、歯科矯正が適しているケースが多いです。ただし、重度の場合は、歯そのものより骨格が出ているケースが多く、歯科矯正では治りません。

矯正治療で治るか、外科手術が必要かは、矯正カウンセリングで担当医が診断します。外科手術の方が効果があると診断された患者さんに対しては、セットバック手術について具体的にご説明いたします。

セットバック手術で口ゴボを治療に関するQ&A

口ゴボやゴボ口はどのような症状ですか?

口ゴボやゴボ口は、上下の歯槽が前に突き出ている状態を指します。口元が突出して見え、口を閉じた時にあごにしわが寄るという特徴があります。

口ゴボの原因は何ですか?

口ゴボの原因は先天性と後天性に分類されます。先天性の場合は、上下のあごの大きさや小ささ、出っ歯が遺伝的に骨格に影響を与えています。後天性の場合は、成長段階の癖や姿勢の悪さなどが原因で、あごが成長し過ぎたり成長しない状態になることがあります。

口ゴボの治療にはどのような方法がありますか?

口ゴボの治療方法は症状の程度によって異なります。軽度や中度の場合は、歯科矯正が適していることが多いです。しかし、重度の口ゴボの場合は、歯科矯正では治りにくいため、外科矯正の一種であるセットバック整形手術が適しています。

まとめ

女性

セットバック手術後は口元の腫れを伴いますので、ダウンタイムは口元をマスクで覆うと目立たなくなります。口ゴボが気になる方、ご自身の程度がセットバック手術か歯科矯正かどちらが適しているのかお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

重度の上下顎前突に対するセットバック手術が審美的な結果をもたらすかについての研究結果を以下に示します。

1. Ghassemi et al.(2017) の研究では、クラスIIIの患者に対する上顎前進術と下顎後退術の審美的結果が比較されました。上顎前進術を受けた患者では、下顎後退術を受けた患者に比べて、特定の審美的に重要なパラメーターが優れていることが示されました。この結果は、上顎が正常な位置にある場合でも、上顎前進術が下顎後退術に比べて審美的結果が優れている可能性があることを示唆しています。【Ghassemi et al., 2017

2. Hwang et al.(2017) の研究では、重度の骨格的クラスIII咬合異常を持つ患者に対して、手術最優先アプローチを使用して行われた矯正外科治療の事例が報告されています。このアプローチにより、患者の顔面外観が顕著に改善され、安定した矯正外科的治療結果が得られました。この事例報告は、適切に計画され実施されたセットバック手術が、審美的な改善をもたらすことができることを示しています。【Hwang et al., 2017

これらの研究から、セットバック手術は重度の上下顎前突の患者に対して審美的な改善をもたらす可能性がありますが、治療計画の際には患者の個々の顔面構造と審美的ニーズを考慮する必要があります。

この記事の監修者
医療法人真摯会 カトレア歯科・美容クリニック
院長 辻 和志

2008年 国立九州大学歯学部卒。医学博士。日本口腔外科学会認定医。ICLS講習修了。

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