歯と口の基礎知識

抜歯の後のケアに関する注意点

抜歯の後のケアに関する注意点

抜歯後の自宅でのケアについていくつか注意事項がありますので、ご説明します。

抜歯後の痛みのピークは2~3日程度

抜歯後、麻酔が切れると痛みが出はじめることがあります。痛みは2~3日程度続き、徐々に和らぐことが多いため、その間は痛み止めと抗生剤を飲んで頂きます。

1週間以上痛みが続く場合はドライソケットの可能性あり

通常は抜歯後2~3日で和らぎますが、1週間以上痛みが続く場合はドライソケットになっている可能性がありますので、すぐに歯科医院にご連絡下さい。

ドライソケットとは?

ドライソケットは、抜歯した部分の歯槽骨が露出して炎症を起こしている状態です。抜歯後の通常の経過では、抜歯後に出血が起こり、血が血餅となって傷を塞ぎますが、血餅が全て剥がれて無くなってしまうとドライソケットが発生します。

ドライソケットになると、1~2週間程度の強い痛みが続くことがあります。ドライソケットの原因としては、免疫力の低下、血流の悪さの他、うがいをし過ぎた、舌で触り過ぎたなどが考えられます。

ドライソケットを防ぐためには、抜歯後に出血していても頻繁なうがいを避け、ガーゼやティッシュなどで圧迫し、出血が止まらない場合は歯科医院にご連絡下さい。

血餅(けっぺい)とは?

血餅(けっぺい)は抜歯後にできる傷口を守るためのかさぶたのようなものです。ただ、口内では手足の傷のように血が乾いて固まってかさぶたが出来るわけではなく、血餅という柔らかく薄い血液の塊で傷が覆われます。

血餅は歯が抜けた後の穴を上から覆って細菌などの侵入を防ぐ役割があります。血餅は抜歯してから2日程度で出来ますが、とても柔らかくて薄いので、うがいのし過ぎなどによって洗い流してしまわないように注意しましょう。

血餅は一週間程度で自然に剥がれ落ちますので、それまでの間は取ってしまわないようにしましょう。血餅がはがれてしまうと、ドライソケットといわれる状態になり、激しい痛みが続きます。

親知らずの抜歯では傷口を縫う場合がありますが、それも血餅が出来やすいようにとの処置です。

抜歯後の腫れについて

抜歯後の腫れ

抜歯後の腫れについて心配される方も多いです。腫れは必ずしも発生するわけではなく、親知らずの状態や生え方により異なります。

抜歯後の腫れは、抜歯によって歯周組織が破壊され、その修復過程での炎症反応として起こります。特に抜歯時に歯茎を切開して抜歯後に縫合を行った場合、腫れが起こりやすいです。

腫れた際の対処法は、腫れる前は濡れタオルで軽く冷やし、腫れた後はそのままにしておくことが大切です。

抜歯後の注意点

注意点

抜歯後に特に注意して頂きたい点は以下のようなものです。

  1. 抜歯後は処方された抗生剤や痛み止めを必ず服用してください。特に抗生剤は全て服用することが大切です。
  2. 抜歯後は麻酔が切れると痛みが生じるため、麻酔が切れる前に痛み止めを服用することを推奨します。
  3. 抜歯当日は安静にし、運動や長時間の入浴、アルコール摂取は控えてください。
  4. 抜歯後24時間は激しいうがいを避けてください。
  5. 抜歯部位には舌や食べ物、水などが触れないようにしてください。
  6. 抜歯後の食事は、お粥やゼリー、ヨーグルトなど柔らかく、少ない咀嚼で済むものをおすすめします。

抜歯の後のケアに関する注意点に関するQ&A

抜歯後の痛みは通常何日間続きますか?

抜歯後の痛みは通常、2~3日程度続くことが一般的です。この間、痛み止めと抗生剤を服用して痛みを管理します。痛みは徐々に和らいでいくことが多いです。

抜歯後1週間以上痛みが続く場合、何を疑うべきですか?

抜歯後1週間以上痛みが続く場合は、ドライソケットの可能性があります。ドライソケットは、抜歯部位の歯槽骨が露出して炎症を起こしている状態を指します。この場合、早急に歯科医院に連絡し、適切な処置を受ける必要があります。

ドライソケットとは何ですか?

ドライソケットは、抜歯後に歯槽骨が露出し、炎症を起こしている状態を指します。通常、抜歯後は血餅が形成されて傷口を保護しますが、血餅が剥がれ落ちてしまうと、ドライソケットが発生し、強い痛みが1~2週間程度続くことがあります。

まとめ

抜歯後の適切なケアは、痛みや腫れを抑え、回復を早めるために重要なものです。抜歯後には痛みが2~3日続き、稀にドライソケットという状態になることもあります。

ドライソケットを防ぐために、抜歯後は強いうがいを避け、血餅の形成を妨げないようにすること、処方された抗生剤や痛み止めの適切な服用が重要です。ま

た、抜歯部位には触れないようにし、食事は柔らかく噛みやすいものを選ぶことを心がけましょう。これらの注意点を守ることで、抜歯後の不快感を最小限に抑えることができます。

抜歯後のケアに関する注意点については、以下の研究からいくつかの重要なポイントが指摘されています。

1. 患者の知識レベルと創傷ケアの成功
抜歯後の創傷ケアに関する患者の知識レベルは、創傷ケアの成功に影響を与えます。患者には抜歯後の指示と教育が提供され、創傷のケア方法に関する知識が重要です。この研究では、患者の知識レベルと抜歯後の創傷ケアの成功との関連を調査しました。【Hanna Hidayah et al., 2022

2. 歯抜後の感染リスク
抜歯は感染や病理の解決のための確定的な治療です。しかし、一部の患者は抜歯後の敗血症の管理のために入院が必要です。この研究の目的は、日常的な歯抜後の頸部感染の発生率、リスク因子、影響を評価することでした。【D. Anchassi et al., 2010

これらの研究結果から、抜歯後のケアでは、患者自身の創傷ケアに関する知識が重要であり、敗血症などのリスクを管理するために適切な指示や教育が必要であることがわかります。また、抜歯後の感染リスクを最小限に抑えるためには、患者の全身状態や抜歯の複雑さを考慮した個別のケア計画が必要です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 カトレア歯科・美容クリニック
院長 辻 和志

2008年 国立九州大学歯学部卒。医学博士。日本口腔外科学会認定医。ICLS講習修了。

▶プロフィールを見る

カトレア歯科・美容クリニック

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック