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子供が転んで歯を打った!処置や受診について教えて!

子供が歯を打った!処置や受診について教えて!

カトレア歯科・美容クリニック 歯科医師 辻 和志

子供が転んだり事故にあったりして歯を打った場合にどのようにすれば良いのか、判断の基準や処置の方法、どのタイミングで来院すればいいかについて、ご説明します。

子供が歯を打った! まずどんな状態か見る

転んだ子供

大人と異なり、子供は成長途中です。そのため、頭が重くなり体のバランスが悪く転んでしまったり、衝突するなどやりがちです。また、乳児から幼児になると、元気いっぱいに遊びまわり、行動範囲が広がるため、ケガをしやすいです。

転んで歯を打った後にどんな状態かが重要

転び方によっては他の診療科(脳神経外科など)を優先的に通院しなければなりません。歯をぶつけただけの場合は、どのような状態や症状かしっかりと見極めることが大切です。

  1. 泣いたがしばらく様子を見るうちに機嫌は良くなり遊んでいる
  2. 痛いと訴え、泣き続けている
  3. 前歯がグラグラと揺れている
  4. 歯に線が入ったり、欠けている
  5. 歯が抜けてしまった

転倒で歯を強打した場合、このような状態が考えられます。

②③④⑤の場合 ➾ 歯科医院へあらかじめ連絡し、早めの対処が必要です。

②③④⑤の場合 ➾ 歯が外傷により割れたり折れた衝撃があると考えられます。

子供が歯を打った時の応急処置

異常がみられる歯は、そのままにせず、なるべく早い受診を行いましょう。

血が見える・変色している

血が見えた・黒や茶色に変色したという場合は、神経(歯髄)が外傷により死んでいる可能性があります。出血が起きた場合はガーゼで圧迫し、血を止め、歯から神経が見えていないか確認してください。

歯が欠けてしまった

乳歯が欠けている場合は、神経治療が必要かどうかドクターがチェックします。必要な場合はそれを行ったうえで、レジンなどで詰め物を行い、歯を元の形に戻していきます。

歯がグラグラしている

歯が動揺する際は歯の根(歯根)の破折・前歯の状態によっては精密検査を行い確認し、両隣の歯を固定して経過観察する必要があります。

歯が抜けてしまった

歯が抜けた場合は水道水で洗わずに、冷たい牛乳(もしくは保存液)に入れて、医院にお電話のうえ一刻も早く通院することをおすすめします。歯医者さんに早く行き診療してもらえれば、抜けた歯を元に修復できる確率が上がります。

子供が大きくなるにつれて、親の目が行き届かないところ(学校やお友達など)で歯をぶつけるなども考えられます。お口の中の状態は、ご両親が見られてもわからないことが多いです。定期的に小児歯科へ通院し、口腔内の状態(歯の生え変わり・むし歯や歯周病などの感染がないか)などを歯科医師に診察してもらいましょう。

乳歯は生え変わるから放置しても大丈夫なのか?

歯が少し欠けたけど、子どもの歯は大人の歯に生え変わるから大丈夫と放置してはいけません。子供の歯の欠けや割れは、ケースにもよりますが、乳歯の状態によっては大人の歯に影響を及ぼす可能性があります。

また、欠けた部分から、細菌の感染が生じてしまうリスクがあるため、感染していないかなど診てもらう必要があります。

子供が歯を打った際の処置や受診に関するQ&A

子供が歯を打った際に注意すべきポイントは何ですか?

子供が歯を打った際には、泣き声や症状だけでなく、血が見えるかどうかや歯の状態を確認することが重要です。

子供の歯が欠けた場合、なぜ放置してはいけないのですか?

子供の歯が欠けた場合でも、放置せずに歯科医師に診てもらうべきです。欠けた部分から細菌感染が起こる可能性がありますし、影響が将来の大人の歯に及ぶこともあります。

子供の歯が抜けてしまった場合、どのように対処すれば良いですか?

歯が抜けた場合は、水道水で洗わずに冷たい牛乳や保存液に入れて、早急に歯医者に連絡し、診療を受けることが大切です。

まとめ

歯は食べ物を噛むという毎日咀嚼をする重要な役割があります。その度に痛みや違和感を感じるのは、食事が楽しくなくなり、嫌がるようになります。歯を打ったならば状態を確認し、様子を見たり、早めに歯科医院へ相談をしましょう。

子供が歯を打った場合の処置や受診については、以下の論文から得られた情報に基づいて説明します。

1. 歯の外傷の一般的な対応
歯の外傷は子供に頻繁に発生し、特に6歳から15歳の間に多く見られます。Sidqui & Khamlich (2022) の研究によると、歯の外傷の多くは転倒や交通事故が原因であり、特に上顎の中央切歯に多く発生します。歯の冠部骨折、脱臼、亜脱臼が一般的です。外傷を受けた場合は、緊急の歯科治療が必要になることがあります。【Sidqui & Khamlich, 2022

2. 特定の症状や状況における対応
Katz-Sagi et al. (2010) の研究では、注意欠陥・多動性障害 (ADHD) を治療するためにメチルフェニデートを服用している子供たちにおいて、歯の外傷の発生率が高いことが示されています。これは、外傷のリスクが高い特定の症状や状況に対する特別な注意を要することを示唆しています。そのため、小児科医や歯科医師は、子供の歯の外傷の早期発見と治療を促進することが重要です。【Katz-Sagi et al., 2010

子供が歯を打った場合、すぐに歯科医への受診が推奨されます。外傷の種類や程度に応じて、適切な治療が必要になります。また、特定の症状やリスクがある場合は、専門の歯科医師や小児科医のアドバイスを受けることが重要です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 カトレア歯科・美容クリニック
院長 辻 和志

2008年 国立九州大学歯学部卒。医学博士。日本口腔外科学会認定医。ICLS講習修了。

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